「友だちは増えているのに、ブロックも同じくらい増えている」——LINE公式アカウントの運用担当者から最も多く聞かれる悩みです。
ブロック率は、単なる「嫌われ度」の指標ではありません。配信設計の質がそのまま数字に表れる、運用の健康診断書です。裏を返せば、配信設計を見直せばブロック率は確実に改善できます。
この記事では、業界の最新データでブロック率の相場観を押さえたうえで、ブロック率を下げるための具体的な配信設計を、実際の企業事例と数値を交えて解説します。
1. そもそもブロック率とは何か
計算式
ブロック率は、次の式で求めます。
ブロック率(%) = ブロック数 ÷ 友だち追加数(累計) × 100
LINE公式アカウントの管理画面では「分析」→「友だち」から、ターゲットリーチ(有効な友だち数)とブロック数を確認できます。多くの管理画面では「友だち追加数」「ターゲットリーチ」「ブロック数」が並記されているため、そこから算出するのが基本です。
見落としがちな注意点
ここで注意したいのが、ブロック率は累計ベースの指標であるという点です。運用年数が長いアカウントほど、過去に離脱した友だちが分母に蓄積し続けるため、数字は自然と悪化します。
したがって、他社と単純に比較しても意味は薄い。見るべきは以下の2つです。
- 自社の時系列変化(先月と比べて上がったか下がったか)
- 配信ごとの増分ブロック(この配信で何人がブロックしたか)
特に後者が重要です。累計のブロック率は動きが鈍く、施策の良し悪しを判断できません。「配信の翌日にブロックが何人増えたか」を配信単位で記録することで、はじめて改善のPDCAが回り始めます。
2. ブロック率の平均は?最新データで見る相場観
全体平均は約30%
LINEのID連携支援サービスを提供するソーシャルPLUSが、同社の支援するLINE公式アカウント(友だち数1,000未満を除く)を対象に調査した結果、**ブロック率の平均は29.7%、中央値は27.0%**でした(出典:ソーシャルPLUS「LINE公式アカウントのブロック率とどう向き合うか?」)。
また、LINEマーケティングツール「Liny」の解説記事でも、一般的な水準は20〜30%程度とされており、10%台から40%超まで幅広く分布していると報告されています(出典:Liny「【ビジネス向け】LINE公式アカウントのブロック率を下げる方法」)。
つまり、友だちの4人に1人以上はブロックしているのが平均的な状態です。まずはこの前提を持ちましょう。
商材別のブロック率
ソーシャルPLUSの調査では、商材別に明確な差が出ています。
| 商材 | 平均値 | 中央値 |
|---|---|---|
| 人材 | 38.4% | 35.8% |
| 化粧品 | 36.6% | 34.8% |
| 健康食品 | 33.9% | 29.2% |
| 医療/美容 | 33.8% | 37.0% |
| 不動産 | 31.8% | 30.1% |
| アパレル | 30.7% | 27.6% |
| 食品 | 27.8% | 22.8% |
| 保険/資産運用/金融 | 22.7% | 24.0% |
| 日用品 | 22.3% | 19.1% |
| 趣味/レジャー/エンタメ | 21.7% | 18.8% |
| その他会員サービス | 21.5% | 15.8% |
(出典:ソーシャルPLUS「LINE公式アカウントのブロック率とどう向き合うか?」)
人材(38.4%)と趣味・レジャー・エンタメ(21.7%)では、16ポイント以上の差があります。この差を生んでいるのは、**「利用が終わる商材か、続く商材か」**という構造です。
転職が決まれば人材サービスは不要になり、化粧品もリピートしなければ関係は切れます。一方、趣味やエンタメは関心が継続し、会員サービスは日常的に使い続けます。自社が前者に属するなら、「用が済んだ後の友だち」にどんな価値を出せるかが配信設計の最大論点になります。
友だち数が多いほどブロック率も高い
同調査では、友だち数5,000未満のアカウントで約22%、50万人以上では40%超という傾向も示されています。
友だちを大量に集めるほど、「クーポン目当てだけの友だち」の比率が上がるためです。友だち獲得の量を追う施策とブロック率は、構造的にトレードオフの関係にあります。
3. なぜブロックされるのか——ユーザー調査が示す3つの真実
配信側の推測ではなく、ユーザー側のデータを見てみましょう。
LINEマーケティング支援会社が2023年7月に実施した、LINE公式アカウント登録経験のある全国の男女1,000名を対象としたインターネット調査では、次の結果が出ています(出典:LINEステップ「LINE公式アカウント登録者1,000人を対象にした利用実態調査2023」)。
真実①:ブロックは「例外」ではなく「常態」
- ブロック経験あり:76.5%(女性は78.9%)
4人に3人がブロックを経験しています。ブロックされること自体を異常事態と捉える必要はありません。問題は「本来つながっていられたはずの人まで失っていないか」です。
真実②:頻度より「内容のミスマッチ」が上回る
ブロック理由の上位は次の通りです。
- 不要な情報が多かった:51.6%
- 配信が多かった:48.9%
注目すべきは、「量」より「内容のズレ」がわずかに上回っている点です。多くの担当者はブロック率が上がると真っ先に配信頻度を減らしますが、内容が合っていない配信は、減らしても嫌われ続けます。
真実③:許容頻度は「週1回」がボリュームゾーン
- 週1回程度:39.2%(最多)
- 有益な内容なら何回でも構わない:15.8%
「有益なら何回でも」が15.8%存在することは重要です。頻度の許容量は、コンテンツの価値によって伸縮する。週1回はあくまで、価値が並程度の場合の安全ラインだと理解しましょう。
補足:友だち追加の動機は「特典」
同調査では、友だち追加のきっかけとして**「クーポンなどの登録特典があったから」が82.6%**で最多でした。
ここに構造的なジレンマがあります。特典で集めた友だちは、「特典が欲しかっただけ」という期待値を持って入ってきます。追加直後にその期待とかけ離れた配信が届けば、当然ブロックされます。友だち獲得の入口設計とブロック率は、直結しているのです。
4. ブロック率を下げる配信設計——5つのレイヤー
ここからが本題です。配信設計を「誰に・いつ・どれくらい・何を・どう受け取ってもらうか」の5レイヤーに分解して考えます。
レイヤー1:セグメント設計(誰に送るか)
ブロック率対策の最大のレバーはここです。
一斉配信は、全友だちに「あなたに関係のないメッセージ」を送るリスクを毎回抱えています。属性・購買履歴・行動データでセグメントを切れば、関係のない人に送る回数そのものが減ります。
具体的な切り口は次の通りです。
- 属性セグメント:性別、年代、居住エリア、来店店舗
- 行動セグメント:直近の閲覧カテゴリ、カゴ落ち、クーポン利用有無
- 購買セグメント:初回購入者/リピーター/休眠、購入ブランド、購入からの経過日数
- エンゲージメントセグメント:直近3か月の開封・クリック有無
特に効果が高いのが、最後のエンゲージメントセグメントです。反応のない友だちへの配信を意図的に減らすと、ブロックの発生源そのものを抑えられます。加えて、配信通数が減るため配信コストも下がる——ブロック率とコストが同時に改善する、数少ない施策です。
レイヤー2:頻度設計(どれくらい送るか)
前述の通り、週1回が安全ラインです。ただし機械的に週1回に固定するのではなく、次の考え方を推奨します。
- ベース配信:全員向けは週1回まで(もしくは隔週)
- セグメント配信:関連性が高い相手には追加で送ってよい
- トリガー配信:カゴ落ち・予約リマインドなど、ユーザーの行動起点は頻度制限の対象外
つまり、「全体の配信本数」ではなく「1人あたりの受信本数」で管理するのがポイントです。アカウント全体では月20本配信していても、1人あたりの受信は月4本、という設計が理想です。
レイヤー3:タイミング設計(いつ送るか)
配信時刻は、業種によって最適解が異なります。
- 飲食店:昼食前(10〜12時)、夕食前(16〜18時)
- 小売・エンタメ:金曜夕方や祝日前
- BtoB・スクール系:平日の帰宅時間帯
避けるべきは深夜・早朝です。通知音で起こされた相手は、内容を見ずにブロックします。
また、友だち追加直後のタイミング設計も見直す価値があります。株式会社LIFULL(LIFULL HOME’S)は、月4回の手動配信をステップ配信に切り替えるにあたり、「友だち追加1日目に初回配信するAパターン」と「7日目に初回配信するBパターン」を比較検証しました。結果、クリック率は7日後に配信するBパターンが高く、ブロック率には大きな差が出なかったと報告されています。同施策全体でCPCは約60%改善、運用工数は4分の1(月8時間→2時間)に削減されました(出典:LINEヤフー for Business「『ステップ配信』でCPC6割改善・運用工数1/4にまで削減!」)。
「追加直後に畳みかける」のが常に正解ではない、という示唆です。
レイヤー4:コンテンツ設計(何を送るか)
「不要な情報が多かった」が最大のブロック理由である以上、コンテンツの見直しは避けられません。
販促だけのアカウントは、セール期以外に存在価値がありません。 次の3種類をバランスさせましょう。
| 種類 | 内容 | 目安比率 |
|---|---|---|
| 販促型 | クーポン、セール、新商品 | 40% |
| 情報提供型 | 使い方、選び方、業界ノウハウ | 40% |
| 関係構築型 | アンケート、診断、抽選、ユーザーの声 | 20% |
特にアンケートや診断コンテンツは一石二鳥です。ユーザーには参加体験という価値を提供しつつ、回答をタグとして蓄積すればセグメント配信の精度が上がります。
なお、実務上のテクニックとして吹き出しの数にも注意が必要です。LINE公式アカウントの配信通数は「配信人数×吹き出し数」でカウントされるため、1回の配信で3吹き出し送れば通数は3倍になります。情報を詰め込んだ配信はコストも高く、ユーザーの負担感も大きい。1配信1メッセージが、コスト面でもUX面でも合理的です。
レイヤー5:受信環境の設計(どう受け取ってもらうか)
配信そのもの以外の設計も、ブロック率に効きます。
- あいさつメッセージ:追加直後に「何が届くか」「どれくらいの頻度か」を明示する。期待値のズレを事前に潰せます
- リッチメニュー:ユーザーが能動的に情報へアクセスできる状態を作れば、プッシュ配信の必要本数が減ります
- 通知オフの案内:「通知が多いと感じたら通知オフもできます」と伝える。ブロックより通知オフを選んでもらえれば、友だち関係は維持されます
3つ目は特に見落とされがちです。ユーザーが「うるさい」と感じたときの逃げ道を、ブロック以外に用意しておく——これだけでブロック率は目に見えて変わります。
5. 他社事例に学ぶ——数値で見る配信設計の成果
事例①:株式会社粧苑すきや——ブロック率10%以下、開封率60%以上
宮城県仙台市でコスメセレクトショップ「Perfumerie Sukiya」を3店舗展開する株式会社粧苑すきやは、**ブロック率10%以下(時期によっては5%以下)**という驚異的な数字を維持しています。
- ID連携率:約90%
- 友だち数:4万人(2022年7月時点)
- 開封率:60%以上
- 配信頻度:月10〜15回
注目すべきは、平均を大きく上回る月10〜15回という高頻度でありながら、ブロック率が平均の3分の1以下という点です。
これを可能にしているのが、LIFFを使った会員情報とLINEアカウントの連携、およびPOS連携によるセグメント設計です。「1年以内にAブランドの化粧水を購入したユーザー」といった粒度で、購入店舗・購入日時・金額・接客販売員のデータを組み合わせたOne to One配信を実現しています。実際にクーポンを約3万4,000通配布し、約4,300件が使用、クーポン経由の来店は日平均200人以上という成果も出ています(出典:LINEヤフー for Business「LINEのID連携率は約90%!ブロック率10%以下を維持するコスメセレクトショップのLINE公式アカウント活用法」)。
頻度を落とすことではなく、精度を上げることが答えだと示す好例です。
事例②:株式会社ロッテ——クリック率が最大5倍に
友だち数約1,350万人(2024年9月時点)を抱える株式会社ロッテは、「Yahoo!広告オーディエンス連携」を活用し、関心層を軸にした配信を実施しました。
- コアラのマーチ×ブルーロック:配信規模を約80%拡大しながら、ブルーロック関心層でクリック率が約5倍に向上
- ガーナ×SPY×FAMILY(父の日):配信規模を約10%増やし、クリック率が約2.4倍に向上
- イタガム×NewJeans:ファン層とその他層でタイトルを出し分け、ファン層のクリック率が約1.7倍に向上
(出典:LINEヤフー for Business「ユーザーの興味関心に沿った配信でクリック率5倍|ロッテ」)
重要なのは、配信量を増やしているにもかかわらず反応率が上がっている点です。「関心のある人に届いている」限り、配信量の増加は嫌悪につながりません。
事例③:ワールド・ファミリー株式会社——ブロック率7%を維持
ディズニー英語システムを展開するワールド・ファミリー株式会社は、セグメント配信を活用したパーソナライズコミュニケーションにより、友だち数を伸ばしながらブロック率7%を維持しています(出典:ソーシャルPLUS「LINE公式アカウントのセグメント配信とは?」)。
友だち数の増加とブロック率の悪化は構造的にトレードオフになりやすいと述べましたが、セグメント設計が伴えば両立できることを示しています。
事例④:ヒラキ株式会社——配信ボリューム25分の1で売上伸長
靴・生活用品のヒラキ株式会社は、セグメント配信によって配信ボリュームを25分の1ほどに抑えながら、LINE経由の売上を伸長させています(出典:同上)。
配信を減らすと売上が落ちる、という思い込みへの反証です。無駄打ちを削れば、配信コストとブロック率と売上が同時に改善します。
6. 運用に落とし込む——見るべきKPIと90日ロードマップ
ブロック率だけを見ない
ブロック率を唯一のKPIにすると、「配信しない」という最悪の最適解に到達してしまいます。配信をやめればブロックは減りますが、売上も消えます。
以下をセットで管理してください。
- 配信あたり増分ブロック数(この配信で何人失ったか)
- ターゲットリーチ(実際に届く友だちの実数)
- クリック率/開封率(届いた相手に刺さっているか)
- 1人あたり月間受信通数(体感的な圧の指標)
- 配信あたり売上/配信コスト(費用対効果)
とりわけターゲットリーチの推移は、ブロック率よりも実務的に有用です。累計比率ではなく実数なので、「届く相手が増えているのか減っているのか」が一目でわかります。
なお、2026年10月からはLINE公式アカウントの追加メッセージ料金が「20万通まで3円/通、超過分2.5円/通」という2段階制に改定される予定です(出典:ソーシャルPLUS「【2026年版】LINE公式アカウントの料金プラン完全ガイド」)。無駄な一斉配信の削減は、ブロック率対策であると同時にコスト対策でもあるという点は、社内説得の材料になるはずです。
90日改善ロードマップ
1か月目|現状把握
- 過去6か月の配信と増分ブロック数を突き合わせ、「ブロックが多かった配信」を特定する
- あいさつメッセージを見直し、配信内容と頻度を明記する
- 配信を1吹き出しに統一する
2か月目|セグメントの実装
- 最低限のタグ設計(属性・購買有無・関心カテゴリ)を行う
- アンケートや診断コンテンツで自己申告データを取得する
- 一斉配信を「週1回のベース配信」に絞り、残りをセグメント配信に振り分ける
3か月目|精度向上と自動化
- ステップ配信・リマインド配信など行動起点の配信を実装する
- 非アクティブ層への配信を減らし、休眠掘り起こしは別設計にする
- 配信時間帯のA/Bテストを実施する
7. ブロックを恐れすぎない——健全な向き合い方
最後に、視点を一つ加えます。
ブロックは、「今の自分には必要ない」という意思表示でもあります。特典目当てで登録した友だちの一部が離脱するのは、むしろ自然な浄化作用です。ブロック率0%を目指す必要はまったくありません。
目指すべきは、**「本来ファンになり得た人を、配信設計の不備で失わないこと」**です。
粧苑すきやが月10〜15回配信してもブロック率10%以下を維持し、ヒラキが配信量を25分の1にしても売上を伸ばしている——この2つの事例は一見矛盾するようでいて、同じことを言っています。すなわち、回数の問題ではなく、「その人にとって意味のある配信か」という一点に尽きるということです。
ブロック率を下げる配信設計とは、突き詰めれば**「関係のない人に送らない仕組み」を作ること**にほかなりません。
まとめ
- ブロック率の平均は29.7%(中央値27.0%)、商材により21%〜38%と幅がある
- ブロック理由の1位は「不要な情報が多かった(51.6%)」で、頻度(48.9%)を上回る
- 許容される配信頻度は**週1回が最多(39.2%)**だが、価値が高ければ許容量は伸びる
- 配信設計はセグメント/頻度/タイミング/コンテンツ/受信環境の5レイヤーで考える
- セグメント精度を上げれば、高頻度でもブロック率は下がる(粧苑すきや:月10〜15回でブロック率10%以下)
- ブロック率だけでなく、ターゲットリーチと増分ブロック数を見る
まずは「先月の配信のうち、どれが一番ブロックを生んだか」を洗い出すところから始めてみてください。改善の起点は、必ずそこにあります。